『道』LA STRADA

1954年イタリア映画(モノクロ作品)
監督:フェデリコ・フェリーニ
音楽:ニーノ・ロータ
主演:アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ
巨匠フェリーニが奏でる人生という名の心の旅路。魂をも満たす美しい主題曲と共に永遠に語り継がれる不朽の名作。
戦後の貧困の影残るイタリア。極貧の家に母と五人の妹たちと暮らす女(G・マシーナ)がいる。
そこに、旅回りの大道芸人の男(A・クイン)がやって来て金でその女を引き取り、芸の助手、身の回りの世話、そして欲情のはけ口としてボロきれのごとく扱う。
家族の口減らしのために買われた女はじっと耐える。
強靭な肉体だけが取り柄の男は、鉄の鎖を胸に巻きつけて引きちぎるといった荒ワザを見世物とする粗暴な男である。
オンボロのオート三輪で旅から旅へ。
やがて二人は、とあるサーカス団に参加し、そこで陽気な若い芸人と出会う。
男と若い芸人は事あるごとにいがみ合う。
ついには警察沙汰を起こして両者ともに解雇されてしまう。
気落ちする女を若い芸人が優しく励ます。
「この小石だって空の星だって、どんなものでも何かの役に立っている。君もそうだよ。」
小さなバイオリンで心に浸みる曲を聴かせ、女はその曲を胸に刻んだ。
時が過ぎ、偶然再会した若い芸人を、男はここぞとばかりに殴り、死なせてしまう。
ショックで女は情緒不安定となり、泣き過ごす。
もてあました男は、女がうたた寝する間に置き去りにしてしまう。
幾年かが過ぎた。 髪に白さも見えるようになった男は、旅回りである港町に来ていた。
気晴らしの散歩の途中、聞こえてきた歌声に足が止まる。
あの女が好きだった曲だ。
聞くと、数年前にこの土地に流れ来た身寄りのない女が口ずさんでいたという。
「その女は今どうしてる?」「死んだわ。」・・・

その夜、男はしたたかに酔い、フラフラと暗い海へとやって来た。
潮騒が男の心をえぐる。砂浜に突っ伏して声を上げて泣いた。
男は初めて、心の涙を流し続けた。