女将奮闘記
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女将奮闘記

女将奮闘記 vol.02

 1997年3月31日。5年ぶりに郷里へと戻る近鉄電車の車窓から鳥羽の海を見たとき「なぜだかわからないほどほっとした」と思い出を語ってくださったのは、料理旅館「海月」の女将、江崎貴久さん。
 貴久さんは23才にして会社を興し、五代目女将として実家の経営に着手。「貴久」という名前は一見すると男性の名前のようだが、これには実は、女将が女将となるべくしてなったというような不思議な縁が…。
 現在の屋号「海月」は明治になってからつけた名前で、元は船大工だった先祖の久助氏が全国から集まってくる船大工たちを泊めていたものを家業にした宿屋「久助屋」が始まり。 その後、宿屋の跡を継ぐ子に「久」の字を付けていたところ「久」の字をもらった男子が早死にしたことから、女将のお二人のお兄様には付けずに女の子であった女将に付けたのだとか。「それでか、私が継いだんやからおもしろいもんやねぇ(笑)」。
 幼少からこの場所・この旅館で育ったため抵抗感もなく、「私がやらなければ」という思いで女将業をスタート。毎日毎日どうしたらお客様に喜んでいただけるかを考えるうちに早10年。子どもの頃から人を喜ばせることが好きだったそうで、「その気分が抜けていないんだと思います」。旅館は女将ひとりでやるものではないため、自分の感覚や好み以外にもアンテナを張っておくこと、それぞれのポジションで仕事をしている人に任せることなど心がけていらっしゃるそうで、例えばお客様に一番近い仲居さんに「どうなん?お客様どうやった?」などと聞くようにしているのだとか。

 

鳥羽の自然と人との
ふれあいを愛する
チャーミングな行動派女将。

鳥羽生まれ・鳥羽育ちで、海と釣りが大好きな活発な少女だった貴久(きく)さん。京都での大学4年間と東京でのOL1年間の生活を経て鳥羽へ帰郷。23才にして、翳りの見えていた家業を継ぐべく五代目女将となる決心を。以来10年、『海月』を盛り立て続けている。活動的なお姿と、柔らかな響きの「鳥羽弁」がとてもチャーミング。

 釣ったばかりの魚を食べて育ったせいか女将は特に魚介類の味に敏感で、鯛など、エサが何だったかまでわかるという!
 このため、お客様にも絶対にご満足いただける料理をお出ししているのが自慢だ。ズワイガニやアユに解禁日があるように伊勢海老やアワビにも解禁日があり、例えば伊勢海老は鳥羽市では9月15日〜3月31日、隣の志摩市では10月1日〜4月30日と地域によっても異なっている。この美味しい魚介の獲れる鳥羽の海が大好きで、「禁漁期にはたとえお客様のオーダーがあってもお断りできる旅館でありたい」という女将。地域をみんなで守り美味しいものを絶やさないように、鳥羽の海がずっといい環境を保てるようにしたいと強い思いを持ってみえる女将。そんな女将のさらに素晴らしいところは、ただ思うだけではなく実際に行動されているところ!

 「海月」のある伊勢志摩国立公園は、他の国立公園とは異なりその99.8%が民有地。環境を守ることが実に大切。鳥羽の海が観光だけのコンクリートの護岸だらけになっていることに気付いたとき、女将は「鳥羽の島々を観光島巡りで眺めるだけでなく、昔自分がしたような体験を味わってもらえないだろうか」と思い立ち、修学旅行の子どもたちを船で答志島へ連れていって釣りをしてもらったという。喜ぶ子どもたちの顔を見たことをきっかけに、2001年、鳥羽の若い人を集め海と島を楽しむための会社を設立。その名前は「海島遊民くらぶ(かいとうゆうみんくらぶ)」と、とてもユニーク!
 船で島にお客様を案内し、地元のこと、島の自然のこと、昔からの遊びのことなどを教えるガイドをかってでている。「島って別世界なんです。まだ昔の日本の良さが残っています。もちろんお客様をお連れするわけですから、ひと夏かけて島を充分調査してこの計画をスタートさせました」。

自然と人の暮らしとの間に立ち、ウォーキングや無人島探険、夏の海ホタルの観察など活動内容は実にさまざまで、ときには漁師さんから直に話をきいたりして一番大切にしている「自然と人の暮らしの共存」をわかりやすく楽しんでもらえるよう工夫されている。3人の子どもがいるお母さんガイドや、現役高校生ガイドなど、総勢11名のスタッフで活動中だ。

 忙しい毎日を活動的にイキイキと過ごされている女将。まだまだ他にも活躍の場をお持ちで、そのひとつが「うめの蕾会」。「1軒の旅館が頑張るくらいではたかが知れています。そこで鳥羽のこれからを担う20代30代の若女将を集めて「うめの蕾会」を作りました。「うめ」とは鳥羽の偉人・御木本幸吉さんの奥様の名前なんです」。

 単なる親睦会とならないよう、例えば「○○旅館の若女将は英語力をつける」「●●宿の若女将は会計事務力をつける」など目標を決めてじっくり勉強なさっている。日々の旅館の仕事を終えてからの勉強は深夜1時に及ぶこともあるとか。それでも会のみなさんが必死で勉強されているのは、はつらつと笑顔で過ごされている貴久さんのお人柄に触れられたからでは…。行動的で活発なお姿に、関西風のイントネーションが柔らかな鳥羽弁がなんともチャーミングな女将。ファンのお客様が多いというのもしみじみ納得できたひとときだった。

 三島由紀夫の「潮騒」で描かれた神島、九鬼水軍の答志島(トウシジマ)に菅島、坂手島と、歴史や文学に登場する4つの島々と海を持つ鳥羽市。真珠、伊勢海老、アワビ、サザエなどの海産物に恵まれ、また鳥羽水族館やミキモト真珠島、イルカ島、さらには讃岐金刀比羅宮鳥羽分社と、有名な観光名所も豊富。

海島遊民くらぶ

お申込み・お問合せ
TEL/FAX:0599-28-0001
E-mail:kurage@oz-group.jp
ホームページもご覧下さい。
http://oz-group.jp

左:
金刀比羅宮の鳥居

右:
鳥羽の海

■お問合せ
TEL:0599-26-2056
■E-mail
kaigetsu@lilac.ocn.ne.jp
■海月ホームページ
http://www.kaigetsu.co.jp

伊勢海老とあわび両方の漁があるのは
4月と9/16〜9/30だけ。
この2ヶ月だけの贅沢を是非!
14,000円(税・サービス料込)

鳥羽駅より100m程、徒歩4〜5分とアクセス良好の、鉄筋4階建ての旅館。宿泊と料理のプランが多々あり、お客様のニーズに合わせて提供している。3月後半は伊勢海老とアワビの解禁日が重なり、ふたつを同時に食べられる貴重な期間!
詳細はホームページにて。